頭が下がった話
日経新聞のプロムナードに山本兼一氏が「頭の下がった話」と題して、ライター時代に取材したお医者さんの事を書いている。名医探訪の企画取材。九州の山間にある町の耳鼻咽喉科の医院長。七十床の入院設備のある個人病院。医院長の取材の指定時間が、午前三時。編集者とカメラマンとわがままな医者と悪態を言いながら夜中の二時起きて、医院長を訪ねる。当時医院長は八十歳に近い年齢。医院長の一日は。毎朝九時病院で診療を開始。外来と入院患者の診療と治療を終えるのが夜八時。医院長としての仕事を十時まで行う。午後十時から午前三時までの五時間、医療研究。面談を求める人に会うのはその後の、真夜中の午前三時の面談となる。朝五時風呂に入り、ビールを飲み食事をし六時就寝。九時に起きて診療を始める。そういう生活を、何十年も続けている。医院長の技術力の高さで、不便なのに全国から治療に来る。稀代な人材。取材し、頭が下がったとある。医院長のご先祖は福岡藩の御殿医で、医院長で七代目。それにしてもプロフェッショナル。私は、町の法律家としてどこまで真似ることができるか。また、そのだけの気力のあるのか、読んだだけですくんでしまった。