「お守り」
音楽や風、匂いや感触。そんなものからインスピレーションを受けてイメージが浮かぶことが多いのだけど、最近、人からも何やら感じる。
それぞれから色やモーション、図形などが思い浮かぶ。それを絵に落とし込んだ抽象絵画作品(アブストラクト)。
今回、お義母さんに描こうと思ったのも、そんな理由。
お誕生日プレゼント、何にしようかなぁ〜って考えていたんです。でもなんかしっくりくる品もアイデアもなく時間だけ過ぎて。
そんな時、イメージが浮かんで、「あ、絵を描くのか」と思ったのです。いつものことなんだけど、「絵を描こう」と決めてから絵を考えるのではなく、イメージが浮かぶことで絵を描くことになるって感じ。
お義父さんが60代で他界してから、1人で暮らす彼女。22才の若さで結婚してから、ずっーとお義父さんに仕えて、最後は自宅介護で壮絶な闘病生活を過ごしお義父さんを見送ったお義母さん。自分自身の人生なんて考えることのなかった、昭和時代ではよくあった献身的な妻。そんな彼女が今1人になって自由になったのに、その自由をどう泳げばいいか戸惑っているように見えるのです。
とても個性的で基本的にポジティブな人。自分のスタイルもはっきりしている彼女にとって、昭和の時代は大変だったんじゃないかな、なんて思う。それでも家族を第一に過ごしてきたこれまでの人生も、きっと幸せだったんだとは思う。だって私の夫である彼女の息子とその妹が、なんていい人たちなのかを見ればわかる。そんな彼女に、自分自身にフォーカスした個の幸せを生きる、次のステージがやってきたのだと思うのです。
”Free your wings”
「あなたの羽を解き放つ」
この言葉は、絵を描き終えた時降りてきたタイトルです。私の抽象絵画は、描き手の願いや想いとは別に、見る人それぞれが、それぞれに解釈して欲しいと思っています。人それぞれ、その作品から得るメッセージは違うはずだから。そして、必要な時に必要な人へ送られるものだと思っています。今回、お義母さんに描いたこの作品。夫は鳳凰の羽に見えると言いました。娘は龍のしっぽと言いました。そしてお義母さんは、温かなからだの中のようだと言いました。面白いですよねぇ。
描き手の私は、あえて形容することを避けて描いています。浮かんだイメージそのままを描きたいから、自分という人間の個人的な解釈が混らないようにしたくて。どんな絵にもひとつだけ共通することは、ただただ「幸あれ!」というエネルギーを込めていること。
いろんな出来事が起きるし、いろんな人もいて。でもどんな時も自分に戻って来ることができるように。揺らめいてしまった時、弱ってしまった時、いつでもこの絵を眺めて、「大丈夫」と深呼吸してもらえたら。ある時は慰めて、ある時は背中を押してくれる、お守りのように存在してくれたら、描き手の私にとって、これ以上嬉しいことはないなぁ!
いつもありがとう!
またね!