福岡伸一

 福岡伸一分子生物学者。毎日新聞夕刊新幸福論に語っている。
 私たちの体は短い時間で見ると固体ですが、長い時間で見れば液体、もっと長い時間で見れば気体です。流れている分子が一時的によどんでいるにすぎない。その流れの中で、私たちの体はかろじて一定の状態を保っている。その現象を、私は「動的平衡」と表現しています。
 東京品川の平和島近く、旧東海道がある。両側に商店、しもたや、ビルが立ち並ぶ。夕方、道に沿って歩いた。子供達が騒ぎ、母親が買い物をし、肉屋が肉を売る姿。こころよい生活感を得る。この道が京都まで続いていたのだと不思議にも思った。