五観の偈
京都に出張した。
仕事は上手くいかなかった。
いま一歩踏み出せば成功するのに、そこで考え、躊躇し、悩む。
其れが成功へ繋がらない。
「短剣なんで憂いべき、一歩これを加えるべき」である。
債務整理も生活を立て直そうとの、その一歩が問題を解決させ生活改善に進む得るのかも知れない。
そんな反省の中、京都で精進弁当を買い、帰京した。
そこに五観の偈(げ)があった。
仕事は失敗したがなお生きているのである。
「一には、功の多少を計り、彼の来所を量る。」
「二には、己れが徳行の全欠を忖って供に応ず。」
「三には、心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とする。」
「四には、正に良薬こ事とするには形枯を療ぜんが為なり。」
「五には、成道の為の故に今此の食を受ける。」
この五観の偈を思ったとき、立っては食事は出来ないと思った。