人間臨終図巻

山田風太郎の「人間臨終図巻Ⅰ」を読み始めた。
道元禅師の「生を明らめ死を明らめるは、仏家一大事の因縁なり」という言葉がある。この意味は、今なぜここにいるかということを明らかにすることであり、死が来るまで、私たちは、いったい何をすべきかを明確にすることだとの事でそうです。では、有名人はどのように死んで逝ったか、それを書いたものです。本の最後。大川橋蔵(1929-1984) …… 葬儀で、未亡人ととなった妻の真理子は、「主人はたった一つの宝はお前だといってくれました。主人の楽しみは、女房をきれいにして連れて歩くことだ、と常にいってくれました。ほんとうに倖せでした。日本一の主人でした」と、芝居がかった挨拶をしたが、それは、烈しい恋愛合戦の末に祇園の芸妓から橋蔵の妻となった彼女の、かってのライヴァルたちに対する勝利宣言であったろう。とある。死にざま、生きざまを考えさせる本。

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