西水美恵子

西水美恵子著「あなたの中のリーダーへ」のはじめの一節。
パキスタンの山奥に住むアマ(母親)の言葉。
「早朝、日の出前、まず水汲みに出る。泉まで一時間裏山を登り、また一時間かけて下る」
「それから子供たちと朝食。朝はお茶とパン一切れ。そしてヤギに餌。涼しいうちに畑仕事に出る。麦と野菜は家族で食べるだけ。売るほど作る土地はない」
「昼前、また水汲みに山に入る。一時間山を登り、また一時間かけて下りる。山の日差しは強いから、昼の水汲みはつらい」
「昼食は子供たちとお茶。あなたと私は水だけ。午後は家の掃除、ヤギの餌集め、薪集め。水が余っていれば洗濯もする」
「日が落ちる前、また水汲みに山に入る。疲れているから夕方は時間がかかる」「夕食はヒラマメのスープとパン。そして寝るまで暗闇の中で子供たちと話す。私はこの時間がいちばん好きだ」
アマは、一息つくと、こう付け加えた。
「くる日もくる日も、同じことの繰り返し。気が狂ってしまうかと思う時さえある。これは人間が営む生活ではない。動物のように、ただ体を生かしているだけ……」「夢はただひとつ。子供たちが教育を受けて、この生活を繰り返さないように。けれど、それさえかなわない。自分が病気になったら皆飢え死にする。それが恐ろしい……」
貧困の現実。全てに幸せな日本に生まれ、生活している事を知る。

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