信用

 9月3日毎日新聞朝刊の文化欄に、三輪太郎が「経済は神仏抜きの宗教」と書いてある。

信用経済・信用創造・消費者信用等。利得専一の金融用語の中に、利得からっとも遠く、宗教にもっとも近い「信ずる」という言葉が紛れ込んでいることが気になって、柄にもなく経済小説を書いたことがありました。……私たちの経済は骨がらみ、信じて賭けることの上に成り立つ、神仏抜き宗教です。この宗教をつき動かす原動力は、欲です。欲をうまく動かせば、奇跡のような社会を豊かにできますが、欲を抑え込む仕掛けを欠くと、社会を死へ追い込みます。

 その上で、宮部みゆき「火車(かしゃ)」について、書いてある。債務整理の仕事をするならば、一読せよと先輩から言われて読んだ本である。住宅ローン、サラ金、失踪宣告、離縁、殺人、自己破産者。信用により死を呼び込む本。一読の価値はある。

 分に応じた生活。地に足が付いた生活。地味だが安定した生活。これが大切なのかも知れない。

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