余禄

 毎日新聞24日付の余禄。今回の原発事故で観光立国でもある日本が危ういこと。こんな状況にも係らず、ドナルド・キーンさん日本永住を決意されたことで胸が熱くなっると書く。
 その前の節で、湯川秀樹博士が司馬遼太郎さんと京都の某料亭で歓談した際、ノーベル賞学者の先生が「一見さんお断り」のしきたりについて聞いた。おかみは、魚屋も酒屋もみんツケで、翌日請求書が回ってくる。それまでの金額が分からず、現金払いで帰るお客さんに勘定ができないから……と答えた。明快な説明に湯川先生はうれしげだつたと司馬さんは、書いている。梅棹忠夫氏は、観光化は、たいていの場合、文化の破壊である。一見さんは何をするか分からないから、お断りするのが安全だからと料亭の本音と言う。

 この記事を読んで、知人が京都の一力茶屋へ行った際の話を思い出した。大石内蔵助、大久保利通、西郷隆盛も出入りした四条通花見小路にある料亭。