金の切れ目が縁の切れ目

 昨日の日経夕刊。家族の地殻変動と題して、山田昌弘中央大学教授の話があった。「パラサイト・シングル」「希望格差社会」「婚活」のキーワードで現代社会を切り込む教授である。

 平成10年自殺者がいきなり8000人増加した。前年山一証券、この年日本長期信用銀子が経営破綻した。終身雇用、年功序列賃金に支えられた日本型雇用が崩れた。雇用不安が広がり、将来への不確実性急激に強まったと話す。更に離婚件数も増加し、現在25万件台で推移している。高齢者及び児童虐待も増加している。これは「金の切れ目が縁の切れ目」となっている。

 平成10年以前は終身雇用、年功序列賃金という日本型雇用慣習が、家族を守って来た。それが崩れたのは、人・物・資本が国境を越えて移動するグローバル化によるものだと指摘する。

 先生は、自殺・離婚・虐待の原因は経済的理由であり、生活の安心保障制度の徹底を優先する政策が必要と話される。努力すれば報われる、希望が持てる社会を創るべきだと語っている。

 中国、インド、ブラジル等が益々発展している。国境を越えて人・物・資本が激しく移動する。日本だけでは生きていけない時代となったわけである。一人ひとりが努力を求められている。それにしても「お金」は、自殺・離婚・虐待をもたらす。翻れば、幸せをもたらすものである。お札にアイロンを掛けるぐらい大切にしたい。