レベル7

 宮部みゆきの「レベル7」を一気に読まされた。同著者の火車、理由も読んだ。社会の事件を基に人物を生き生きと書き抜く。併せて、その社会事件の問題点を描き出す。筋が、推理小説として展開して行く。

 最後の部分の会話 

~悦子はにっこりしてみせた。「これから、みさおさんとゆかりと三人で動物園に行くですよ。三枝さんは弁護士さんの事務所?」「ええ、そうです」「もうこれで、お会いすることはありませんね」法廷で顔をあわせることは会うことではない。「そうですね」ちょっと間があいた。風が吹き付けてきて、悦子の頬に触れていく。「お元気で」「ありがとう」くるりと背を向けると、悦子は大股に歩きだした。五、六歩行ったところで、呼び止められた。「真行寺さん」振り向くと、三枝は階段を一段だれ降りて、半ばこちらを向いていた。「なんですか?」悦子は足を止め、聞き返した。戻ろうとは思わないが、三枝が何を言うのか、どうしても聞いておかなけれはならないと思った。ほんの少し、口の端を下げるように微笑してしてから、三枝は言った。「あたなはお母さんにそっくりだ」悦子は言葉を探した。「よく、そう言われます」三枝はちょつとうなずいて、さっきよりも大きくほほえんだ「さようなら」と彼の方から言った「さようなら」と悦子は答えた。~

三枝と悦子の思い。そして、ホテルの火災事故、記憶喪失、殺人事件、行方不明、問題の解決へと進ん小説が、心のひだとして終わる。

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