裁判実務の実例

謹んで新春をお喜び申し上げます。皆様のご健康とご多幸を心より祈念致します。
さて、一休和尚は次の様な歌を残しています。馬齢を重ねている自分にとっている身にしみます。

「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり ありがたくもなし」

それだけ、一年、一時を大事に生きろと言うことだと思います。
年末、本を仕入れてきました。その中に小山弘氏「司法書士の裁判事務実例集」がありました。同氏は明治大学の同窓ですが、大学院まで出られた方です。
その訴状を次に載せます。ある架空の事件を依頼者から聴き取り、それを法律的に纏めたのが訴状の例です。訴状を見ればその人の力が分かります。この訴状を読みながら、自分の勉強不足を感じました。毎日が精進かと感じた次第です。

訴 状

福島地方裁判所郡山支部御中

平成21年1月1日
原告 福島太郎

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
準消費貸借金返還請求事件
 訴訟物の価格 金400万円
 貼用印紙  金25000円
第1 請求の趣旨
 1 被告は、原告に対して金400万円及びこれに対する平成20年12月1日から
   完済まで年5分の割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
  との判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因
 1 被告の地位
  被告は、VNジャパンと称する団体の代表であり、VNジャパンは、米国のナシート・シュナイドルなる人物(以下、シュナルド)が主催する天上界、銀河連盟及び地球の深刻なる変動等を考える組織の日本に普及する活動をしている(甲1)。
 
 2 被告の機関誌、原告の不安
   原告は、平成20年1月、知人よりたまたまVNジャパン発行の機関紙(甲1)を紹介され、その中に記載された上記同年末までに地球滅亡の危機が起こると言う内容の記事を読み、重大な衝撃を受けた。原告は、家族とりわけ2歳の娘の将来に不安を抱いた。
 
 3 支援金の送付
   被告は、上記機関誌において、地球の滅亡の危機から救うためシュナイドルが進めている00クルー・プロジェクトという活動に支援するための資金を急募していた(甲1)。そこで原告は、同活動を支援する意思の下に、上記同年1月に100万円を、また上記同年3月に400万円を被告に送金した。

 4 支援金の使途
   その後、VNジャパンの活動に関心をよせていた原告は、上記支援金がどのような使われ方しているかたびたび被告に質したが、被告は、500万円のうち100万円は米国に送金するが、400万円は日本で使いたと答えたのみで、使途の具体的内容については回答しなかった。
   然るに、平成20年5月、原告は、米国の00クルー・プロジェクトが既に解散している旨を、被告の知人である訴外山田太朗から聞き、VNジャパンの活動に疑問を抱くようになった。

 5 VNジャパンの実態、400万円の返還交渉
   原告は、平成20年6月1日、被告と面談し、上記支援金500万円のうち、米国に送金済みの100万円を控除した400万円の使途について被告に説明を求めた。被告は、席上、VNジャパンは実質的には被告のみで運営している会であること及び上記400万円は被告が私消していたこと認めた。
   そこで、原告が責任を追及したところ、被告は上記400万円を責任をもって原告に返還する旨を確約した。(甲2)

6 準消費貸借契約の成立
   原告は、平成20年6月30日、上記支援金400万円の返還請求権につき、被告との間であらためて下記のとおり契約を締結した。(甲3)
(1) 借用額 金400万円
 (2) 弁済方法 被告は、原告に対して、平成20年7月末日を第1回とし、以後毎月末日限り各10万円を支払う。
 (3) 失権条項 被告が上記分割金の支払いを1回でも怠ったときは、被告は期限の利益を失う。
  
 7 弁済状況、支払請求
    被告は、前項記載の第1回の分割金の支払期限が経過しても、同金員を支払わない。そこで原告は、被告に対して、本年8月19日付内容証明書郵便をもって支払いを請求し、同郵便は同月21日被告に到着した(甲4の1、2)が、被告は全くこれに応じない。
  
 8 よって、原告は、被告に対して、準消費貸借金400万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成20年8月1日から完済まで年5分の割合による遅延損害金の支払いを請求する。
  証拠方法
  付属書類

ある架空の事件を纏めた訴状であるが、訴状とは必要にして充分でなければならない。多すぎても、少なすぎてもいけない。その上で、要件事実を記載しなければならない。実体法の勉強と法律的に纏める力が求められる。日々精進である。


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