債務整理と本(火車ーかしゃー宮部みゆき著)
宇都宮健児先生が、宮部氏の「火車」は債務整理に関係するひとは一度は読まれたらよいと言われていた。読んだ。
この本は、平成4年に発刊されている。小説は時代のを先を読むのだというが、まさにその後に起こった多重債務時代を予測させる内容である。ある女性が、多重債務から逃げるためにまったく知らない他人に成り替わる小説である。推理小説であり、経済小説である。
昭和58年頃のクレジットカードの発行枚数約6千万枚。平成2年には、約1億7千万枚になった。約三倍。そのことは何を引き起こしたか。
誰もが見境もなく、気軽に自分の夢を叶えだした。クレジットカードが普及する前は、自分で夢をかなえるために努力するか、又は、現状に甘んじ、夢を諦めるかの二者選択。そして、そこには安寧があった。ところがクレジットカードは、すぐに夢をかなえてくれる。そして、その夢の中に益々入り込んでいき、地獄の淵に立ち、地獄へと進んでいく。この借金の恐ろしさを教えてくれる。
では、クレジットカードを無くせば良いという考えも出でくる。それは、自動車は危険だからよしてしまえとの話と同じになってる。自動車事故で何万人か死ぬから、自動車の運行を停止する。社会が成り立たない。クレジットカードも同様で経済の利便性が損なわれる。でわどうすればよいのか、自動車の安全運転を心掛け自分の身と相手の身を守り、その上で、よりよい行動的な生活を行うのと同様に、身の丈の借入をすればよい。でも難しい。
クレジットカードは、刑法にある「許された危険の法理」であるのかと思った。 社会生活上不可避に存在する法益侵害の危険の伴う行為につき、その社会的有用性を根拠に法益侵害結果を許容する考え方。
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