未必の故意

過失と故意の間に、死んだらそれも仕方がないという意思がある。それが未必の故意である。
文章を学ぶなら、志賀直哉だと読んだ事がある。全集を購入した。1日分野の異なる本を10冊読めという人もいるが、雑用と意志の弱さで難しい。
昨日全集の第2巻を取って読んでみた。「清兵衛と瓢箪」等の作品が有った。その中に、「范の犯罪」があった。ー范という若い支那人の奇術師が演
藝中に出刃包丁程のナイフで其妻の頸動脈を切断したといあ不意な出来事が起つた。若い妻は其場で死んで了つた。范は直ぐ捕へられたーの文章で始まる。裁判官は座長、助手と尋問し、最後に本人范を問い質す。范は妻との心の行き違いで生じた、彼の心の動きを詳細に裁判官に話す。
私は、有罪と思った。しかし、
ー裁判官は何かしれぬ興奮の自身に湧き上るのを感じた。彼は直ぐペンを取り上げた。そして其場で「無罪」と書いた。

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