杳子・妻隠

 古井由吉著「杳子(ようこ)・妻隠(つまごみ)」を読んだ。杳子は昭和45年下半期芥川賞受賞作品。妻隠は、その候補作品。
 杳子は、青年と神経を病む女子大生杳子の愛の物語。妻隠は、昭和の時代に都会住む若い夫婦の話。共に重たい話。
 興味のある方は、お読み頂ければと思う。私にはさらさらとは読めず、読書力をつけなければと思った。
 その時の芥川賞選考委員の井上靖の評

 「杳子・妻隠」それぞれ特色のある作品で、どちらが選ばれても異存はありませんが、私の場合は、妻隠の方を推しました。作者の計算の行き届いている短編らしい短編にぶっかった思いです。端役の登場人物である老婆や少年も、それぞれに課せられている役割が過不足なく果たしている感じで、また作品全体を程々にさらりと仕上げている効果の計算もみごとだと思いました。

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